外資系企業での経験を活かし、事業とチームを牽引するリーダーの在り方
それぞれの働く現場でいきいきと活躍する社員を紹介する「Meet the CONNECTer」。今回ご登場いただくのは2021年4月1日に立ち上がったパナソニック コネクトの新事業、「現場マルチネットワークサービス」を牽引する尾崎孝史さんです。アメリカの大学を卒業後、複数の外資系企業で技術力とマネジメント力を磨き、一貫してネットワークを専門領域としてきた尾崎さんがパナソニック コネクトに入社したのは2019年(当時はパナソニック コネクティッドソリューションズ社)。これまでの経験やキャリア採用だからこそ感じるパナソニック コネクトの強み、現場マルチネットワークの可能性などをお聞きしていきます。
尾崎孝史
愛媛県新居浜市生まれ。高校卒業後に渡米し、セントルイス大学を首席で卒業。アメリカ、スウェーデン、中国のグローバル外資系企業3社に勤め、中国やタイなどにも出向し、通信ネットワークコンサルタントを20年以上経験する。2019年2月、自身として初めての日本企業となるパナソニック コネクティッドソリューション社(現・パナソニック コネクト)にキャリア入社し、さまざまな事業推進を担当。2021年10月から新規事業である現場マルチネットワークサービスの立ち上げを担い、現在は現場マルチネットワークサービスのシニアマネージャーを務める。
アメリカの通信機器メーカーからスタートしたキャリアパス
編集部:尾崎さんはどのような少年時代をお過ごしになられましたか。
尾崎:私の生まれは愛媛県新居浜市。豊かな自然と工業地帯が共存する瀬戸内海に面した街で、実家は祖父の代から電気機器の設計・製造会社を営んでいました。その影響で機械に興味があったため、小学生の頃からマイクロコンピュータを自作し、ゲームをプログラムするなどして遊んでいましたね。自分でつくり、自分で体験する。このプロセスが非常におもしろく、将来はこういったものを世の中に届けられる仕事がしたいと考えていたように思います。
母方の親戚は教育関係者が多く、その関係でうちは留学生のホストファミリーをしていました。私自身も高校時代にニュージーランドに留学したのですが、いろいろな国の方とコミュニケーションをとるのがとても楽しく、大学で専攻しようと決めていた電気工学は英語が多用されているため、せっかくならばアメリカの大学に進学しようと渡米し、ミズーリ州のセントルイス大学を首席で卒業することができました。
編集部:セントルイス大学を卒業されてからパナソニック コネクトに入社されるまで、ずっと外資系企業にお勤めだったそうですね。
尾崎:ええ。在学中にスカウトをいただき、大学卒業後はアメリカ・シカゴの通信機器メーカーに入社しました。大学でも無線やサテライト通信、情報通信技術の講義に興味を引かれていましたしね。それに「会話をするもの」である通信は、見るもの、聞くもの、食べるものと同様に、人が絶対に使うもの。確実に無くならない領域であり、衰退するどころか発展を続けていくはずだと思ったのです。だからこそネットワーク業界を極めてみたいなと。
世界的なITバブルの最中であった1997年、転勤した日本支社では次世代通信ネットワークのコンサルティングを行い、出向先の中国とタイでは海外オペレーターへの技術支援コンサルタントをしていました。そして2005年にスウェーデンの通信機器メーカーに転職。日本における携帯電話の4番目のキャリアを一から立ち上げるという、ビッグプロジェクトに参加することになったのです。ここでは第3世代の携帯電話の通信方式、W-CDMAシステム設計の技術総責任者というポジションで、グリーンフィールドから設計、導入、運用、保守、オペレーションセンターの設置まで携わることができ、多くの学びを得ました。納品したシステムを実際にユーザーとして活用したときは大きな喜びがありましたし、小学生の頃に夢見たことを実現できたように感じたのです。
私は生涯技術者として務めを果たすつもりでいました。しかし自分が技術者として極めた領域も、一人ではなくチームで臨めば、より大きな仕事ができる。そう思った私は、以降、マネージャーとしてのキャリアを歩み始めます。そして2015年、ヘッドハンティングをされて中国の通信機器メーカーにジョインし、新規参入のネットワーク事業の推進を担当することとなりました。
現場のDXを加速させる現場マルチネットワークサービスの立ち上げ
編集部:尾崎さんは2019年にパナソニック コネクトに入社されています。外資系企業を渡り歩いてきたなかで、なぜ日本の100年企業のひとつであるパナソニックグループへの転職を決められたのですか。
尾崎:20年以上外資系企業に勤めてきましたが、私は日本に生まれ育った日本人。年齢は40代後半に差し掛かり、外資系企業の一員として日本市場を開拓するのではなく、母国の技術を日本人として海外に広めていきたいと考えるようになったのです。私が感じたパナソニックの強みは3つ。1つ目は歴史と実績によって培われた信用力、2つ目は高い能力によって培われたコンサルティング力、3つ目は優秀な技術者たちによるソリューション力です。この3つを有すパナソニックは、日本のみならず海外のIT企業にも必ず勝てる。世界にインパクトを与えるイノベーションプロジェクトが展開できると確信したのです。
編集部:現在、パナソニック コネクトではどのような事業に従事されていますか。
尾崎:2021年4月より提供を開始したパナソニック コネクトの新事業、「現場マルチネットワークサービス」に立ち上げから携わっています。この事業の目的は、石油・ガスプラント、インフラ施設、公共交通機関、大規模な工場など、通信ネットワークが整っていない環境に自営無線ネットワークを構築し、現場が抱える課題の解決やスマートファクトリー化を推進すること。自営無線ネットワークに画像センシングや顔認証などのソフトウェア、タブレット端末やウエアラブルカメラなどのエッジデバイスを組み合わせ、それぞれの現場に最適なサービスを一気通貫でお届けしています。ローカル5Gシステム、プライベートLTE(sXGPと自営BWA)、Wi-Fiアクセスポイントといった通信規格を用途や環境に合わせてご提案しながら、運用、保守までトータルサポートできるのは、パナソニック コネクトの独自性といえるでしょう。私に課せられたのは、技術とお客さまを紐付けたうえでのビジネスの成功。新規事業のプロデューサー的な役割ですのでなかなか骨が折れますが、その分やりがいがあります。
編集部:現場マルチネットワークサービスの導入事例をお聞かせください。
尾崎:大阪ガス様の泉北製造所と姫路製造所には、BWAとローカル5Gのシステムを納入しました。この製造所は都市ガス製造拠点であり敷地が広大でした。この全体にWi-Fiアクセスポイントを設置する場合、電波カバー範囲は狭いため、設置個数が多くなることからコストが格段に跳ね上がってしまいます。そこで私たちは電波カバーエリアの広い基地局を建てることで、コストを抑えながらネットワークを構築するプランを提案しました。私たちは現場の環境を調査したうえでの企画・コンサルティングから、ネットワーク設計、システム検証、無線局免許取得支援などのSI業務、ネットワークオペレーションセンターによる遠隔サポートまで、一貫して行う体制を整えています。だからこそ安定した通信環境を実現できると考えています。
チームで結果を出すためにやるべきことをやる
編集部:お仕事に取り組むうえで、常に意識されていることはありますか。
尾崎:パナソニック コネクトのパーパス「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」を強く意識しています。「自分は会社の歯車のひとつに過ぎない」と思っている人がもしいたら、その人はパーパスの意味を理解できていない。このパーパスは決して綺麗事ではなく、現場にいる社員一人ひとりの力によって社会は動いていますし、それが未来へつながっているのです。だから私のチームではこのプロジェクトの目的は何か、自分は何をすべきなのか、この技術は何に役に立つのかなど、それぞれが腹落ちするまで対話を重ねていきます。
私は現場主義ですから、メンバーと一緒に現場に行くことも大切にしています。現場へ赴くと、オフィスにいるだけは知り得なかった課題に気づきやすい。先日、メンバーと半導体の工場へおうかがいしたのですが、そこでは洗浄工程が手作業で行われていました。しかしこの工場に自営無線ネットワークを導入すれば、洗浄工程を効率化できる。つまり「手洗い」という課題の発見から、解決の流れまで見えてくるわけです。同行したメンバーは、将来的にオペレーションコンサルタントになりたいと話していましたね。
編集部:尾崎さんはチーム一丸となって結果を出すことも、重視されているのですね。
尾崎:個人の力には限界があります。だからこそ社員の高い能力やポテンシャルを引き出し、それぞれが実力を最大限発揮できるチームを形成することも私の仕事。上司はチームのメンバーのキャリアカウンセラーでもありますし、もし足りないものがあれば親身になってアドバイスするべきだと思っています。
編集部:尾崎さんのチームはメンバーのエンゲージメントが非常に高いとうかがいました。
尾崎:メンバーも私のお客さまだと思って接していますから。上司だからといって、大きな顔をするのは大間違い。メンバーは自分のアセットではないのです。みんな「距離感が近くて、話しやすい」と言ってくれますが、まぁ、お客さまなので当たり前というか(笑)。とはいえメンバーには正しく自分を評価してほしいと伝えています。評価が悪ければ私は退場。すぐに新しいマネージャーが来るだけです。
編集部:お休みの日はどのようにお過ごしですか。
尾崎:家族と旅行に行ったり、自宅でのんびり過ごすことが多いですね。私は基本的に仕事が大好きなのですが、会社の方針で休日をしっかり確保できるので、週末はなるべく仕事について考えないようにしています(笑)。
編集部:これからパナソニック コネクトで挑戦していきたいことを教えてください。
尾崎:私は「社会の課題を解決し、それに対する対価をいただく」という思いで、常に仕事に取り組んできました。それはこれまでも、これからも変わることはありません。あとはやはり、新しい事業を起こし、社会に貢献し、身をもって体感する、というこのループを、キャリアを通じて続けていきたいですね。いまは現場マルチネットワークサービスの事業成長に向けて邁進するのみ。グローバル展開を視野にいれているので、まずは先進国、そして発展途上国への納入を目指し、尽力してまいります。