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笑顔に出会うため、技術で人と人をつないでいく

それぞれの働く現場でいきいきと活躍する社員を紹介する「Meet the CONNECTer」。今回ご登場いただくのは、コンピューター・ビジョンを専門とする吉原フウさんです。エンジニアを目指したときから現在にいたるまで、吉原さんは「つなぎたい」という思いを一貫して抱き続けてきました。それは決してひとりよがりなものではなく、誰かのために、社会のために、技術をいかにして役立てるかを考えてのこと。そんな吉原さんの仕事にかける思いを紐解いていきます。


吉原フウ
2010年 新卒入社、現在は技術研究開発本部 先進技術研究所 マルチセンシング研究部所属。14年間のキャリアの中で、色・質感再現のバーチャルメイクアップ、スポーツ・バイタルセンシング、Blue YonderとのジョイントソリューションのひとつであるYard Trackingの物体検知などの数々の新規開発を担当。



技術を架け橋に「つなぐ」喜びを知った技術者の原点

編集部:吉原さんがエンジニアを志したきっかけをお聞かせください。
 
吉原:「技術で人と人をつなぎたい」という思いが、エンジニアを志した契機になります。私は幼い頃からものづくりが好きで、自然とプログラミングに興味をもつようになりました。振り返ると高校1年生の夏休みに、友人と「MS-DOS」のASCII 256文字だけでネットワーク通信のサッカーゲームをつくったことが、大きく影響しているように思います。3日間泊まり込みでつくりあげたため、さすがに疲労困憊。ですが学校でそのゲームの大会を開催し、クラスメイトとワイワイ盛り上がった楽しさは、疲れを吹き飛ばすほどのよい思い出になりました。このときに初めて、何かをつくり、人と人をつなぐ喜びを知ったのかもしれません。

編集部:素敵な思い出ですね。エンジニアになられてから、技術を通じた人と人とのつながりを感じられた取り組みはありますか。
 
吉原パナソニック コネクトの画像センシング技術を活用し、世界ゆるスポーツ協会と新競技の共同開発を行なったプロジェクトでは、とくに実感することができました。2人のプレイヤーが画面を見ながら顔の表情と全身を使って対戦する「フェイスマッチ」と、画面に表示されたピクトグラムと同じ体の姿勢を取る「ピクトグラミー」に、私はアイデア出しの段階から携わっていたのですが、これらの競技を体験できるイベントで子どもから大人までが楽しんでくれている様子を目の当たりにし、とても嬉しかったです。「つながっている」瞬間を、直に感じられたというか。
 
私の仕事の特性上BtoBの案件が多いため、消費者の方と直接お会いできる機会はほとんどありません。ゆるスポーツのイベントでは、自分が関わった技術でたくさんの方が笑顔になっている光景を見ることができ、「社会の役に立つことができたのかな」と、仕事のモチベーションにもなりました。
 
編集部:「東京2020オリンピック競技大会」のアーチェリーのテレビ放送では、選手の心拍データの変化が画面に表示されていましたが、ここで活用された「非接触バイタルセンシング」という技術の開発には、吉原さんも携わっていたそうですね。このプロジェクトもダイレクトに「つながり」を感じられたのではないでしょうか。
 
吉原:まさにその通りです。「非接触バイタルセンシング」はアスリートの顔の画像から心拍データを推定する画像解析技術で、私はトラッキング技術の開発を担当しました。心拍データの見える化により、勝負の瞬間の選手の心情が視聴者にも伝えられる。私たちが計測した心拍データがそのまま全世界に生放送されるとあって、当日は絶対にミスが許されない緊張感に包まれていましたが、私自身、計測画面を通じて選手と心境を分かち合えた気がしたのです。テレビの向こう側にいる視聴者の方々も、私と同じように選手とのつながりを感じられているのかなと、感動を覚えたプロジェクトとなりました。

仕事には自分の好きなことを取り入れる

編集部:お仕事をするうえで、常に意識していることはありますか。
 
吉原:自分のやりたいことを仕事に取り入れようと意識していますね。たとえば、トレーラーの物体検知と追尾の技術開発を担当しているYardTrackingシステムでは、短い期間での成果が求められるスクラム開発でプロジェクトを進めています。そのためリアルタイムで新しい技術をキャッチアップし、開発スピードを加速させる必要があるのですが、私はもともと技術への興味関心が強い。だから意識的に最新モデルを試し、過去のモデルと比較しながら、最適な手法を選択するやり方で取り組んでいます。
 
会社として目指すゴールと自分が担う役割、個人的に“好き”な要素が、同じ方向を向くようにする。つまり企業のミッション、社会のニーズ、そして自分の興味、この3つが重なるところで仕事ができたら、一番ハッピーなのかなと思うのです。

また、異業種の方や社外の方との交流も大切にしています。これは私が入社3年目を迎えた2013から2016年にかけて行った、バーチャルメイクアップの技術開発を通じて意識するようになったことですね。海外の化粧品メーカーとの取り組みで、技術者ではない化粧品メーカーのデザイナーの方との仕事でしたため、常に発見の連続でした。
 
まず彼らと私とでは、着眼点がまったく異なります。私のミッションは画像処理によってメイクアップの色を引き出し、美しい表現をもって消費者に伝えること。しかし彼らはデザインへのこだわりが強く、見せ方も上手いため、質感や効果までも再現できないかと、さまざまなアイデアを提案してくれました。この視点はこれまで画像処理を行ううえで、自分の頭になかったものになります。彼らからは非常に刺激を受けましたし、社外の方との交流によって一人では思いつかないような発想が生まれるのだという、大きな気づきが得られました。自分の観点とは違う観点と接することにより、また新しい何かが生まれていく。人とのつながりも楽しみながら、日々の業務に励んでいます。

細くても長く継続することの意義

編集部:どんなときも人とのつながりを大切にされているのですね。
 
吉原:そうですね。「技術で人と人をつなぎたい」という思いはもちろん、「人とつながりたい」という気持ちが強いのです。英語と中国語を勉強しているのですが、それも海外の方と円滑なコミュニケーションを取りたいがゆえ。パナソニック コネクトのDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)イベントや競技プログラミングなどへ積極的に参加しているのも同じ理由です。他者との接点が増えれば自分の立ち位置も分かりますし、仕事では触れていない技術も身に付けることができますから。

 編集部:お忙しい毎日かと思うのですが、常にチャレンジを続けられている吉原さんのご姿勢、本当に素晴らしいなと思います。
 
吉原:楽しいからできるのです。仕事や育児で自由な時間は限られていても、大切なのは継続すること。何事も継続しなければ、成果は出せません。辞めてしまったらそこで終了ですが、ペースを落としてでも、細く長く続けていけば、最後まで頑張れる。家族との時間は大事にしつつ、自分の挑戦も諦めずにいたいなと思っています。
 
編集部:吉原さんが挑戦してみたいこととは何でしょうか。
 
吉原:いまはロボット関係のセンシング/AI技術研究開発に興味があります。ロボットの環境理解や未知の環境アクテイブ学習などおもしろいテーマが多く、今後ますます発展していく分野であろうと。自分が担当するプロジェクトにも、いずれ取り入れてみたいと考えています。
 
編集部:パナソニック コネクトで、どのようなエンジニアになっていかれたいですか。
 
吉原:テクノロジーの発展をグローバルでリードしたいという気持ちを抱きながら、日々エンジニアとしての技術を磨き、語学や社外活動に取り組んでいます。コンピューター・ビジョンの分野では誰にも負けない専門家として、誰かのために役立つ技術開発をやり遂げたいですね。

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