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ライフプランを自由に描くための卵子凍結—福利厚生としての費用補助制度を導入—

皆さん、こんにちは! パナソニック コネクト、From the Inside編集部です。

パナソニック コネクトの取り組みを内側からレポートする当シリーズ。
今回は、2023年10月1日より国内社員向けの福利厚生制度として導入する、卵子凍結への費用補助の取り組みについてご紹介します。

当社で働く女性社員の自律的なライフプラン設計を支援するための当制度。株式会社グレイスグループが提供する卵子凍結管理サービス「Grace Bank」と提携をする他、社員が卵子凍結を行うクリニックに対して支払う採卵・凍結費用を、34歳以下の女性社員※を対象に、40万円を上限に補助します。また、卵子凍結に関する理解を深耕させられるよう、社員向けのセミナーを実施し、ヘルスリテラシーの向上を図ります。
※制度導入後2027年度までは39歳以下まで対象

制度導入にいたった背景や、そこに込められた想いを、執行役員 ヴァイス・プレジデントの山中 雅恵さんに聞きました。

【プレスリリースURL】
卵子凍結への補助を福利厚生制度として導入 | 提携・共同発表 | 企業・経営 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan : パナソニック ニュースルーム ジャパン

―そもそも、どうして「卵子凍結」は女性のキャリアとライフプランを両立させるための選択肢として注目を集めているのでしょうか

日本だと、不妊治療と聞くと、なんとなく「40代が近付いたら始めるもの」という印象を持たれがちかなと思うのですが、アメリカでは30代前半から開始している人が多く、二国における体外受精の成功率の差には、その年齢差が大きく影響しているとされています(アメリカ25%に対し、日本は14%)※1。
このように出産率は年齢が上がるにつれて低下しますが、若い卵子を使用すれば、母体の年齢が上がっても、卵子を凍結した年齢の妊娠率を維持できることがアメリカの最新の調査で分かっています※2。
例えば、30歳で卵子凍結をしておいて、40歳になってその卵子を使体外受精に使用した場合、卵子の年齢は30歳で止まっていますから、体外受精の成功率は30歳のままということになるわけです。

若いうちに卵子凍結をせずに30代後半から不妊治療を開始すると、その分卵子の年齢も上がってしまうため、体外受精の成功率は低くなってしまいます。そうなると不妊治療の時期が長引くので、精神的・肉体的・金銭的にも苦労する場合が多く、女性のキャリアやライフプラン設計に対するモチベーションの低下にも繋がりかねません。不妊治療と仕事を両立できず、妊娠を諦めざるを得なかったという方も大勢いらっしゃると思います。
若いうちに卵子凍結をしておくことで、そういったリスクを最大限抑えることが出来るのです。

逆に言えば、キャリアや他のライフイベントを犠牲にしてでも、妊娠成功率が高いとされる20代~30代のうちに妊娠・出産をすべきだというプレッシャーから自分を解放することにもなります。極端な話、将来自分が子供を持ちたいかどうかが現時点ではっきり決まっていなかったとしても、とりあえず若い卵子を保存しておくことで、将来の選択肢を広げることができるのです。

―「不妊治療」と聞くと、妊娠を望んでいる人たちに限った話のように思えてしまいますが、卵子凍結は、むしろ将来がまだ何も決まっていない若い世代にこそ重要な話なのですね!
続いて、この制度の導入に至った経緯を教えてください

不妊治療というテーマが、とても個人的でセンシティブでありながらも、誰かのサポートが欠かせないものであるとずっと考えていました。
私自身、10年間不妊治療で苦労した経験があり、周囲で同じような経験をしてきた人を大勢知っていましたし、私の経験を社内外にもオープンにしていたので、「山中さんと私の間だけの話にして欲しいのですけど・・・」と、不妊治療で悩んでいる女性社員から個人的に相談を受けることも多かったです。
当事者が周囲の人に知られたくないということもあって公になる機会が少なく、隠れてしまっているけれど、とても重く、対応が必須な課題であると思っていました。

そんなとき、他社でウェルビーイングの担当をしている知人で、私が不妊治療で苦労していたことをよく知っている方から、卵子凍結への費用補助を、福利厚生の制度として企業が導入できるということを教えてもらったんです。「一般的に規模の大きい企業は保守的な傾向にあるので、自社では到底無理だけれど、新しいことにどんどん挑戦していこうとするコネクトさんのカルチャーであれば実現できると思う」と。
そこで、DEI推進担当役員の二人に制度導入の話を持ち掛けたところ、「絶対に実施すべきだ」と二人も同じ想いを持ってくれ、すぐに対象社員の想定人数や必要経費を計算し、現実的にも導入可能であることを確かめました。
本当にあっという間に導入に至りましたね。私から二人に話を持ち掛けてから制度導入が確定するまで、一カ月かかっていないのではないでしょうか。
新しいことに挑戦し、変革していくことの大切さを、日頃からCEOの樋口さんが唱えていることが背中を押してくれたと思います。

―世間一般的に、卵子凍結においてクリニックに対して支払う採卵・凍結の初期費用は40万円前後のようですが、今回の制度の補助費用の上限をほぼ満額の40万円とした背景を教えてください

ハードルをとにかく下げたいと思いました。若い世代こそ卵子凍結を実施すべきなのに、若い世代の収入における40万円の出費ってかなり大きいと思うんです。5割負担にしたとしても20万円。これも即決できるような金額ではないですよね。金額で躊躇してしまって卵子凍結に踏み切れないということにはしたくないと考えました。
今までは、「年を重ねてから『やっぱり子供が欲しい』と思う可能性だってあるのだから、とりあえず若いうちに卵子は取っておく、という選択肢も有りなんじゃない?」と周囲の人たちに伝えたい気持ちがありつつ、金額が高いのであまり強く言い切れなかったんです。
福利厚生によって卵子凍結へのハードルを下げられるということは、本当に大きな変革だと思います。

一最後に、この制度に期待することを改めて教えてください

卵子凍結をすることで、将来の選択肢が広がり、ライフプランを自分で選べるようになりますから、女性社員にはその自由を手に入れてほしいと切実に思います。
また、女性社員だけでなく男性社員にも、世の中にこういう動きやニーズがあるということを理解してもらって、「こんな取り組みをしているんだよ」というのをいろんなコミュニティや場面に持ち込んで話してもらえたらと思います。そうすることで、パナソニック コネクトだけの話ではなく、世の中を巻き込んだ動きになっていくことが理想です。
当社がきっかけになって世の中のムーブメントになれば、当社の女性社員に限らず、世の中で苦しんでいる人たちが救われる可能性だってある。そう強く思っています。


名称を耳にすることはあっても、「子供が欲しいという強い意志を持っている人がやるもの」だと思っていた卵子凍結。今回の制度導入を受け、その背景を知ったことで、ライフプランがまだ何も決まっていない若い女性にこそ、自身の選択肢を広げるために必要なことだと気づくことが出来ました。
将来自分が結婚するのかも、子供を欲しいのかも分からなくても、将来の自分により多くの選択肢を残してあげるために卵子凍結をしてみる。そんな選択肢があるということを一人でも多くの人が認知することが、職場の環境を、そして社会を、少しずつ変えていくきっかけになるかもしれません。



※1:2021年日本産科婦人科学会実績値/2020年英国CDC(疾病予防センター)実績値  国立社会保障・人口問題研究所「2015年社会保障・人口問題基本調査」より出典
※2:Fertility and Sterility VOLUME 118 JULY01,2022NYU Langone Health MAY 26,2022より出典

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